アンソンの街を望む小高い丘
今にも雪の落ちてきそうな灰色の空と、降り積もった根雪によって固められた白い大地
黒い人影は、景色に溶け込むようにして其処にあった
そしてその傍には白い服に身を包んだ黒髪の女性が……って、うそだろ!? んも、ぎゃーって叫んでましたよ心の中で。新しい縁故ゲット、と勇んで出かけていったのに、いったのに~。丘の上から収容所の様子を観察していたのは草薙(敵)と犬神(敵)の二人...........orz
ああ、そうだった。この二人、たしかに錬金術師だった。でもなぁ、なんでこんなところにいるんだ!? キーリスカヤに雇われて、は神父の話からしてありえない。正義感に駆られてカリコフからやってきたようには思えない。ブローツォワから指示を受けて様子を探りにきた? いやいや、それも可能性薄。この二人が動く理由で一番ありえるのは……。
「…やはり、犬か」
真海たんがいきなり犬神にケンカを売りました。その一言で犬神が振り返えり、続いて草薙が振り……ばっちり視線が合ってしまいましたよ。うわー、もう逃げられねー。真海たん、犬神ともに臨戦態勢です。加えて草薙も殺気を放ってきます。こえー、こえー。真っ先に殺られる、ただの人が真っ先に殺される。ぶたさん大ピンチ。
ままままままま、まずは話し合いを。ということで、ハンプティから再会のご挨拶。
黒衣の男に目を据えたまま腕を横に出して真海を止めると、一歩踏み出して彼女と緋弥呼のあいだに体を割り込ませた。
「お久しぶりです、ヴァイスカウント。レディ緋弥呼。お二人ともまさかわたしをお忘れではないでしょうね? ここはコキュートスよりも暖かい。地獄の底での再会とはなりませんでしたが……」
返事を待つ間に雪がふり出しました。まあ、雪よりも二人の視線と態度のほうがずーっと冷たいんですけどね。それにしてもあいさつぐらいしろよ。「よう」とか、「おう」とか、「ふん」とかでもいいからさ。おも~い沈黙に耐えかねたハンプティは、気まずさを紛らわせるように顔を収容所のほうに向けました。
「あれを……収容所を二人だけで襲う気でしたら考え直したほうがいいでしょう。あそこにはズデーキンの直衛部隊が駐屯している可能性が高い。それとも貴方がたはキーリスカヤの意向を受けてここアンソンにいるのでしょうか?」
さて、草薙の返答はいかに!?(つづく)
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