ぶーたれてても仕方がないので出発。神父も救出作戦に加わってくれるというので、総勢7名でアンソンに向かいました。道中ほのぼの……としているワケがなく、相変わらず殺気を放ち続ける真海ちゃんと、同じように殺気を放ち続ける草薙たちの間で怯えるぶたさんたち。樵小屋に戻るときにはまーったく気づかず、のほほんとしていたハンプティでしたがさすがに今度は……。ああ、なんて気まずい旅なんでしょうw; とにもかくにも二日目の朝、ちょうど日が昇ったころアンソンに戻ってきました。
作戦の決行は夜です。日のあるうちは丘の上からそおっと街の様子を観察。アンソンの街はガラガラ、無人街になっています。通りをうろついているのはキーリスカヤ歩兵連隊の連中だけ。どうやらズの直衛部隊は収容所にはいないようです。それでも夜を、寒いさむい夜を待ちました。
あ、そうそう。万が一にも失敗したらめっさ困るから、草薙の退路確保は真海たんに任せることになりました。しぶしぶですが草薙も譲歩。それぞれが担当する役割はこうです。暴れまわる人=犬神。遺物を取りに行く人=草薙。逃げ道を確保する人=真海たん。その他、ただひたすら出番を待つ人……船長たち(笑)。
草薙は町に近づくと犬神を一行から切り離し、街中に潜伏させた
その意味が明らかとなるのは郊外の納屋に忍び込んで待つこと数十分
一箇所で起こった悲鳴が急激に広まりを見せ始めた頃合だった
不自然な霧が出始めたかと思うと、あちらこちらで悲鳴が上がり始めました。同時に猛々しい獣の唸り声が!
「…頃合だな」
な、なにが頃合なんですか、草薙さん(汗)? 草薙はおもむろに抜刀すると納屋の戸を開けて外に出て行きました。開け放たれた戸の向こうに白い壁……ではなく濃い霧。戸口から伸ばした手の先が見えません。ななな、なんじゃこりゃ。あわてて草薙の後を追おうとしましたが止めました。危なすぎるからw; どうやらこの霧と恐ろしい獣の唸り声は犬神の……(つづく)。
……またしても拒絶!?
「勘違いするな。我々が障害と見るのはキーリスカヤの凡愚共ではない」
つまり、ハンプティたちの協力なんてまったく必要ない、というんですね。んじゃ、いったい何しについてきたんだ? あの場できっぱり協力関係を拒めばお互い時間の節約になっただろうに。草薙たちがのこのこついてきた真の理由はこうでした。
「…貴様の脇に控えて、先ほどから殺気の礫を放ち続けている小娘だ。植芝に伝わる秘儀を使われては、我々2人でも勝利は難しい。ましてや勝利した上で任務を遂行するのは不可能だ」
真海たんが怖かったのかよ(笑)。さっさとやっつけてもらえばよかった(笑)。ハンプティの存在感は草薙たちにとって≪ゼロ≫。どーでもいい、その他風景、道端の小石レベルのようです。そんなもんだヨネ。小石のお願い事なんぞ、耳には届かんよね、と拗ねていたら……。
「……問いに答えよう。症状の出た者は助からん。まだ症状の出ていない者は、原因を除去することで全く問題はなくなる」
なんやねん、このツンデレ野郎は。かわいいじゃねぇか(笑)。
ま、とにかく約束は約束。答えてもらったので、黙って指示に従うことにしました。とはいうものの、シエルの遺物を奪還するだけで終わっては困ります。収容所の開放をすこしでも有利に進めたいところ。ちょっとだけ、「基本作戦に+アルファ。こんな風にしてみては」、と提案してみました。
●立案した作戦は草薙に一蹴されました。
侵入手段及び退路の確保は全て犬神が1人で行うそうです。
結局のところ草薙は彼らが最も自由に動きやすい手段をとるようで、
これに異を唱えるのならばすぐにでも協力を解消すると強気の態度に出ています
やっぱりかわいくねー!!
とどのつまりは現地で別行動かい。真海たんをけしかけない、という約束だけ取り付けられれば用なしなのね。草薙たちが遺物を取りに行っている間、勝手に収容所でも何処でも開けて回れ、ということらしいっす。なんやねん、いったい。会話を含めたリアル10日間を返せ(笑)。
アンソンから二日かけて隠れ家に戻りました。道中、とくに何事もなかったようです。や、これは船長だけが思っていたことなんですがw
さて、まずは草薙たちに隠れてこそこそと調べ物です。
●○○の詩篇は東部オーブラカに関する情報が豊富であるものの、ニジンスクの情報は参照できそうにありませんでした
残念。≪アンソンの遺物≫について調べたのものの、空振りに終わりました。てか、西部編があるのかね、もしかして? しょうがないな、と話し合い再開。草薙たちとあらためて作戦の打ち合わせです。その結果、施設内へは草薙と犬神の二人が侵入して目標物を奪取、その間ハンプティたちは脱出路を警護、草薙たちが戻ってきたら合流し、後はなんとかして船を出して逃げる…………。
いやいやいや、ちょっとまて。おまいたち、おいしいところもっていきまくり。てか、ニジンスクの人はどうするんだよ? 病の元が謎のまま持ち去られちゃったら、どうやって解毒剤をつくればいいのさ、ねえ?
「……貴方たち二人だけなら、出航する商船に容易く忍び込めるはずだ。毒婦(シエルの遺物のことね)をつれてニジンスクを出てください。我々は残って敵の目をひきつけます。船がキーリスカヤ(ニジンスク領)の圏外に出るまでなんとか時間を稼ぎましょう。そのかわり、病の正体を教えていただきたい。解毒剤とその生成方法、病の治療方法が解っているのならそれもお願いします」
ニジンスクの人々を助けるためにここにいるのに、草薙たちと一緒に逃げちゃ意味がありません。それにね、ここまで関わったら遺物の正体とか知りたいじゃないですか。主役の船長が活躍できなくてもいい、おいしいところをみな持っていくがいいさ。だからかわりに情報をよこせ、といってみました。
「断る」
はぁ!? なんですとぉ。
「滅び行く民族のことなど、実に些細なことだ」
この冷血漢!! 思わずテーブルに拳をたたきつけ、椅子から腰を浮かせるハンプティ。でかかったののしり言葉を飲み下し、殴りたいのを必死でこらえましたよ。殴りかかったら逆にやられていたと思いますけどw なんとか気持ちを落ち着けて交渉を続けました。
「ねえ、ヴァイスカウント。考えてみてください。正体そのものはともかく、病を癒す方法を教えたからといってどうなるっていうんですか。生き残ったニジンスク人たちがシエルの遺物と同じものを作り出すとでも? 治療方法や薬からある程度、病を推測し絞ることはできるかもしれませんが……ただ知っている、というだけでは駄目だ。作り出せるだけの技術と素材、それに環境が必要。それは錬金術師であるあなた方が一番よくわかっているはずですよ」
さらにみなの前で草薙に頭をふかぶかと下げました。お願いします、教えてください、と。
「断る!」
こ、こここここ、このやろう! 頭まで下げたのに……よくもかわいこちゃんズの目の前で恥をかかせてくれたな! ぶたさん泣いちゃうぞ~。
「我々の行動に一切の例外は存在しない。全ての知識は、正しき管理の下に。1つの例外が万の悲劇を生む。目の前の悲劇に嘆く暇があるのなら…次の悲劇を止める手立てに生命を働かせる。それが我々という存在だ。受け入れられぬと言うのならば、この協力は解消する」
そうかい、あ、そうかい。あんたは正しいよ。でも、当事者たちはそう思わないんだよ。滅亡寸前のニジンスク人たちは!
歯を食いしばって堪えました。ここで暴れてもなーんにもならないどころか怪我、悪くするとみなを巻き込んで死んでしまうだろうから。譲歩に譲歩を重ね、最低限のことを聞きだすことにしました。これが最後の交渉です。
「シエルの……遺物がなくなれば……病もなくなると考えていいのでしょうか。故意によるもので自然に広がりはしない、感染性は低い……と?」
(とっても長いので中略)
「お願いです、先ほどの問いに答えて下さい。もうそれ以上は望みません。答えを得たなら、あとは黙って指示に従いましょう。貴方たちを無事ニジンスクから送り出した後、我々だけで生き残った人々を助けます」
土下座までしませんでしたよ。逆に顔を上げ、正面から草薙の目を見据えて堂々と言ってやりました。これで「断る」っうならこちらから協力願い下げです(つづく)。
要約すると、草薙の作戦はこうでした。
STEP1) 入って
STEP2) 奪って
STEP3) 出る
あほか!! それ、作戦とちゃう!
「優秀な指揮官が居ない状態で警戒も緩ければ、侵入奪取程度の事はできる。……単純なことだ」
押し込みの好機がくるのを丘で待っていたのだとか。力技で押し切るつもりらしいですw; ズの直衛部隊がどっかいけばあとはザゴばかり。ザコなんて数がどれだけいても障害にはならんらしい。肝心の遺物持ち出しに関しては、「奴等は真理に遠い故、正しい利用法を知らず運び出すこともできない。我々にはそれが可能…それだけのこと」ですと。
とにかくこのままでは完全に蚊帳の外。収容所に突貫する前に一度小屋にもどって詩篇を調べて見たい、と思いました。シエルの遺物なら何か書かれているかもしれないし。「とりあえず一度仲間のところへ戻らせて欲しいんだけど……なんなら一緒についてくる?」とハンプティ。や、こんな砕けた調子で言ってませんがねw; てっきり、さっさと行って来い、と言われると思ってたのに草薙のお返事は……。
「…いま少し待つのも良い。では同行しよう」
ついて来るんかい(笑)。
「…(前略)病の正体について何か解っていることがあれば教えていただけないでしょうか?」
ぶたさんは問いました。小屋が狭く、なにかとプライベートな問題が発生するのでもっと広い場所に移りたい。だけど≪病≫が怖い……。草薙と犬神をつれて戻れば寝る場所にも困ります。それに小屋とアンソンは徒歩で二日の距離。ちょっと遠すぎます。街のすぐ傍とはいいませんが、中間ぐらいの廃村に隠れ家を移したいところです。そのためには病の原因を突き止め、廃村が安全であるかどうかの確認をしなければなりません。
「原因もまた、あの街の地下に眠っている。シエル人がニジンスク伯の手引きでかの知識を起動させ…その副産物として悪夢が撒き散らされた。ある種の意味においては毒に相違ない」
な、なんですと!? ニジンスク伯ですと!?
この惨劇、元をただせばタヌキ親父の野心が原因だった模様。シノイエフの悪巧みをどうにかして知ったズデーキンが「シエル兵器」の横取りを企んで侵攻、というのが真相のようです。こ、こいつら二人ともシバキ倒す!! どんな大義名分を振りかざそうと、オレは赦さん!! 苦しみの末に死んでいったン百万のニジンスク人たちに土下座しろ!! で、草薙に「一緒にズと兎をしばかないか?」って誘ってみました。
「過ぎたる知識を、正しき管理の下に。それだけ達成されれば、後のことなど知ったことではない」
あ、そう。冷たいのね。まあ、いいや。これで≪病≫の正体がはっきりしたわけだし、ここは悪夢の元を取り去ることが肝心。
「では、あそこから遺物を取り戻す何か具体的な計画があるのですか? 取り戻した後、どうやって港まで……国まで持ち帰るのです? ポケットの中に忍ばせることができるほど小さなものではありますまい。それならとうの昔にキーリスカヤへ持ち去られているはずだ。お宝を横からかっさらっていく賊を、占領軍がだまって見逃してくれるとは思えませんが?」
さあさあ、聞かせてもらおうではないですか草薙さん。貴方の計画を。(つづく)