東の村の調査結果はすぐに出ました。行って見ると村の中心部に大きな穴が掘られていました。そこには大勢の人間が焼かれた痕跡が……
●……部分的に残っていた骨から老若男女を問わず
焼かれたらしく、生きながら焼かれた者と死んでから
焼かれた者が丁度半々程度であり、尚且つ多数の
家畜も……
生きたまま焼かれた人間がいる、という判定を下したのはニルーフェです。訊けばこの不思議ちゃん、なんと、医術の技能を有しているというではないですか。ほんま、なにもんやねん君w で、そのニルーフェの見立てでは、この村は≪強力な疫病≫に侵されていたようです。
●患者を収容していたらしい村の教会や大きな建物も
根こそぎ消毒のためか焼かれており……
ひぃぃぃ。完全な廃村状態。辛うじて残っている建物には謎の病原体が残っているかもしれず、非常に危険とな。もちろん、移り住むのは諦めました........orz
しかし、村民の大半と家畜が同時に発症し、尚且つ死体だけでなくすべてを焼却しなくてはならないほど危険な病って? こんな小さな村で突然? 風土病なら近くの村も同じようなことになっているはず。首をひねるハンプティに不吉な知らせを届けたのは真海たんでした。
●……うち西側に位置する1箇所は植芝の偵察によって
この村と同様、村人全員が焼き殺された痕跡がある
そうです。ほか2箇所は北方と東方に位置しています
西の村を焼いたのも、やはりキーリスカヤ軍でしょう。ろくな治療も行わず、生きている人もまとめて焼いたキーリスカヤ軍ですが、この時点ではハンプティはまだ渋々キーリスカヤ軍のやったことをある程度認めていました。この時点では。放置しておけば島全体、いや交通の発達した現代では他の島にまで被害が及びかねないから。そのうちキーリスカヤからできる医者を連れてきて、きちんと病の正体を突き止め、予防策及び治療措置をとるだろう、と。
だけどキーリスカヤは本気を出しそうに無い。手っ取り早く焼いて終わりにするだろうなぁ、と思ったので、ハンプティーは自分たちで何とかすることにしました。まずはお医者さんなニルーフェと相談です(つづく)。
包囲網をやすやすとかいくぐってハンプティを一旦外に逃がしたあと、真海はひとりで船に戻りました。ダンプティとニルーフェを助け出すためです。ダンプティたちが裏切り者の船員数十名に囲まれて身動きが取れなくなっていたところ、颯爽と現れ、一瞬で相手の腕や足を破壊して行動能力を奪い、武器を持った憲兵の包囲を突破してのけました。つぇぇぇ(笑)。
●……その武術はまるで魔法を見ているようで、小柄な女性の
片手一突きで大の大人が10m以上吹き飛ぶなど、信じ難い
東方の神秘の連発……
10メートル! 二、三人甲板から突き落とされてるな(笑)。いつもどおり戦えばもっと楽に、もっと早く二人を連れて逃げ出せたでしょう。ですが真海たん、律儀にもハンプティの「手加減していたら自分が死ぬか大怪我をしかねない、と言う場合以外は安易に人の命をうばって欲しくない」という願いをちゃんと守ってくれたのです。ま、本気だして相手をするようなレベルじゃなかったんでしょうけどね。ど素人船員と憲兵ごときじゃ、準備体操にもならなかったでしょうw
さて、船を逃げ出した船長たちは徒歩で山を目指しました。逃亡2日目、長い間空き家になっていたと思しき樵小屋を発見。ここをとりあえずの隠れ家とすることに。ハンプティたちが小屋の掃除などをしている間に、真海たんに辺りを偵察(兼、狩り)に行ってもらいました。
●付近には半日ほど東へ歩くと村があるらしいものの、偵察に
赴いた植芝によれば人気がなくなっているそうです
村か……。村民はキーリスカヤ軍に追い出されてしまったのでしょうか? 樵小屋で暮らすよりは快適なはずなので、ハンプティはそちらに移ることを考えました。キーリスカヤ軍の見回りがなく、完全に捨てられた村なら大丈夫でしょう。ともかく、東の村に行ってみんなで調査を行うことにしました。ごくごく気楽に考えていたのですが……(つづく)
「もし逃げ切れなかったら、いや、キミならそんな心配はないな。さあ、行って。憲兵がここに来ないうちに。オレは船長だから。船とクルーを見捨てて、真っ先に逃げ出すわけにはいかないから……」
震える膝を机の下に隠し、泣き笑いの状態で真海たんに逃げろと言いました。だって、こんなことに金で雇われただけの傭兵を付き合わせるのはねぇ。すると真海たん、「窮地に雇い主を見捨てるのは植芝の為す所ではない」と頼もしい発言。ああ、なんとありがたいw 真海たん曰く、「船長の守ろうというクルーによって船長は裏切られた。裏切り者を庇護する必要などありません」とのこと。どうやら裏切り者は一部ではなく、専任を含めた全クルーのようです。なんてこったい。ずっとずっと半年間一緒だったのに。一部入れ替わったクルーもいますが、ほとんどが最初に乗船島でやとって半年間連れまわした連中です。信用度も≪信頼≫までありました。それなのにこの裏切り。ひどいわ、ひどいわ、教会に続いておまいらまで(泣)。
泣き言いってる場合じゃありません。すぐに逃げ出さないと捕まってしまいます。捕まれば裁判を受けることなくそのまま処刑……のようです。弁解の余地なし。せかされて、あわてて必要最低限のものをカバンに詰め込むハンプティ。身支度をはながら真海たんに、逃亡ルートは立ててあるのか、と聞きました。
「これから作る。さしあたってどうするかを聞きたいのです。あくまで港湾部に隠れるか。でなければ内陸部に逃げるか」
二択です。ハンプティの下した結論は、
「内陸部へ。ニジンスクの人を助けるんだ。このままじゃ、島の人々が紡いできた歴史と文化が跡形もなく消されてしまう」
……でした。港に逃げ隠れできる場所はないでしょう。たぶん。なにより尻尾を巻いてニジンスクから逃げだすつもりはありません。だって、まだ何にもしてないんだもの。一人も助けられていないんだもん。てなことで、ここから長い逃亡生活が始まりました。
ニジンスク到着から5日。ハンプティは船員たちを動員して地味にレジスタンス活動を行っていました。昼は手書きのビラを書いてつくり、夕方から夜にかけて壁にビラを貼ったり、酒場のテーブルにさりげなく置いてきたり、商店の店先に並べられた品の上やカゴに入れたり……。情報収集に2日かけたので、実際の活動期間は3日です。で、日付が4日目に変わった直後、事件はおきました。
「船内に憲兵が入り込んでいる…逃げるぞ」
船長室に飛び込んできたのは真海たんです。なんと、数名の船員が憲兵を船内に招き入れているというではないですか。既に船外は憲兵に囲まれているそうです。どうやら情報収集を行い、解放運動の協力を暗に要請した教会が船長たちのことをチクッた模様。密告を元に活動していた船員が割り出され、その船員が多額の報奨金で買収を受けた……らしく(TT)。
●教会関係者はみな相当額の金による買収を
受けていると思われます。
脱走者が早々に捕まる理由は、町の情報に
通じた彼ら司祭が内々に手をまわして脱走者を……
おのれ! 断じて赦さん! 天に代わってこのオレが腐れ坊主どもに鉄槌をくだしてくれるわっ!!
司祭といえども人の子、みながみな聖人君子であるとは思っていません。時には不正も行うでしょう。賄賂を要求したり、女遊びに興じたり……。でも、人としての良心までなくしているとは思わなかった。命からがら逃げ出して、助けを求めて逃げ込んだ教会。そこで信じていたものから裏切られたときの絶望感。密告を受けて処刑されたニジンスク人のことを思うと涙が止まりません。熱心な信者である船長自身の心の傷も大きく……必ず、必ず、腐れ坊主どもには罰を与えてやります!!
真海たんに逃亡を急かされた船長ですが、いったんは断ります。だって、船とクルーを残して船長が真っ先に逃げ出すわけには行かないから。すると……(つづくw)。
暗黒街の伝手にたよれず、教会に見放され……それでもめげずに酒場などで情報収集を続けるハンプティ。次のことが明らかになりました。
囚われたニジンスク人たちは、はじめ首都ニジンスク市近くの炭鉱跡に収容されていたようです。いまは炭鉱跡にほとんど人は残っておらず、ハンプティたちがニジンスクに着くちょっと前あたりから、内陸部各所に急遽建造された収容所や鉱山に送られ始めたのだとか。強制労働に従事させるためです。さらに情報を集めていくうちに、ハンプティの毛を逆立てさせるほどの悪事が明らかになりました。
●しかし働かされるのは健康な者だけであり、
赤子や労働力とならない老人及び病人は
民族浄化の名の下に虐殺される運命を辿っており……
ふぁっきん!! なんてことするねん!!
炭鉱跡からなんとか逃げ出した市民も、キーリスカヤの入植が完了してしまった市街地には潜むことすらできず、発見され次第その場で殺されているそうです。もう街はすっかりキーリスカヤ。ニジンスク色ゼロ。市内のいたるところを多数の兵士が巡回しており、逃亡者や内通者、スパイなどを摘発して回っています。ああ、まるでドイツ占領下のポーランド状態。いや、それより酷いかも。
それでも協力者はいるはずだ。入植してきたキーリスカヤの一般市民の良心に訴えかけよう。ハンプティは抵抗ビラを作って街角などに張り出すゲリラ作戦にでました。同時に逃げ出してきた市民を国外に逃がすため準備を始めたのです(つづく)。
あ、ちなみに……。
●ニジンスク男爵館は完全に焼け落ち、
男爵は護衛や市民を見捨てて逃亡したようです。
しかりキーリスカヤはこれを追う気配を見せておらず……
だそうです。たぬき親父はたしか井筒屋の旦那が連れ出していたはず。いまどこにいるんでしょうね?